ゲーム感覚で言葉に親しみ、日本語の美しさを感じながら、
表現力を磨いて、自分の「今」を見つめ直すことができる。
そんな「おとなの遊び」としての魅力を秘めているのが「句会」です。
「興味はあるけれど、俳句って難しそう……」
そんなふうに思っているあなた!その不安と疑問にお答えすべく、
先日、「さっぽろ俳句倶楽部」の第2回目の部活動としてSaloonで開催した
「ライラック句会」についてレポしていきますね。
俳句の「さっぽろ俳句倶楽部」って~の句会って?
その前に、「さっぽろ俳句倶楽部」について、簡単に紹介を。
昨年、Saloonで「はじめてさんの俳句講座」というシリーズを春夏秋冬それぞれの季節に開催しました。
その中で、受講生さんから、
「講義を聞くだけでなく、自分で作った俳句を持ち寄って句会もしてみたい」
という声が上がり、「さっぽろ俳句倶楽部」という形で、句会を開くことになりました。
記念すべき第1回は「ひな祭り句会」で、今回の「ライラック句会」が2回目になります。
俳句は「季節の詩」。
「五七五」の中に、季語(季節の言葉)を1つ入れて作るのが基本です。
そのため、開催時期にピッタリくる「季節のもの(イベント・植物・食べ物)」などをテーマに、今後も句会を打っていく予定です。
この日は快晴で、大通り公園に早くも咲き始めたライラックが美しく青空に映えていました。
句会前にライラックの実物を見てから句を詠んだり、既に作った句を練り直したりしている人もいましたよ。
これぞ、俳人魂!その成果か、個性豊かな句が揃いました。
句会って、何をどうやるの?
まず、イベント告知時にお題を発表します。今回は、
・「ライラック」「リラの花」の季語を含む1句
・「変身」をテーマにした1句
でした。
季語はそのまま使えば良いですが、「変身」については、ちょっと頭や感性を働かせる必要アリの難題だったかも……
良い頭の体操になったようです(笑)
この日は、参加者が少なめだったこともあり、急遽、会場でも時間をとって1句詠んでもらいました。
折しも5月第2日曜日だったので、お題は「母の日」か「カーネーション」で。
こんなふうに、思い立った時、「今、ここ、我」を刻印できる器であるという点も、
俳句の魅力の1つと言えます。
句会の進行をざっくり説明すると……
作ってきた句を短冊に記入(無記名で。これを投句と言います)
↓
投句の一覧表を作成し、参加者がそれぞれ「良い、好き」と思った句を選ぶ(これを選句と言います)。この日は、4句選びました。
↓
句ごとに点数を集計。
↓
選んだ句について、感想を言う(この句会では、誰にも選ばれず点数が入らなかった句についても講師が触れていきます)。
↓
感想を聞き終わったら、作者が名乗りをあげる。
こんな段取りです。
句会は点を競うのではなく、コミュニケーションの場
いかがですか?「点数をつける」なんて言うと、ちょっと尻込みしてしまう人もいるかもしれません。
「点数」が入れば、嬉しく励みにはなりますが、それがすべてではありません。
なぜなら、たくさん句がある中で「4句」しか選べませんから、
「これも本当は点を入れたかった」というのが出てくるからです。
テストであれば、点数だけで終わってしまうでしょう。
でも、句会はコミュニケーションの場。作品についての意見交換が主となります。
ですから、たとえ点数が入らなかった句でも、
「なぜ伝わらなかったのか」を知り学びとできたり、
他の人が選んだ句の感想を聞き、「そういう読み方もあるのか!」と
自分では気づかなった良さを知って視野を広げられたりします。
また、単純に「素敵な表現」に出逢って心が洗われる気分を味わえるにも句会の魅力。
17音しかない俳句、悩みながら作るからこそ、素敵な句に対して、
「短くても、これだけ深いことが言えるのか」という感動を味わうこともできるのです。
言葉が溢れ、ある意味軽くなっていることもある時代だからこそ、選ばれて、研ぎ澄まされた表現の輝きに心打たれるのかもしれません。
俳句を詠んでみたいと思ったあなたへ
ここまで読んできて「句会って面白そう」「自分でも俳句を作ってみたい」と思ったあなた。
ちょっとご一緒にやってみましょう♪
スマホカメラで、気軽にシャッターを押すように、心動かされる景色に出逢ったら、それを「言葉」で表してみるのも、またオツなものです。
指折り数えながらでもいいので、言葉を17音におさめてみてください。
季語は……そうですね、今の季節なら「初夏の風」なんてどうでしょう?
この時のコツは「風の様子」を説明するのではなく、「風に吹かれて感じたこと」を表現してみること。
「初夏の風」が吹いて、甘酸っぱい恋の記憶がよみがえったというあなたなら、
・「初夏の風君の横顔盗み見る」
・「ぶらんこに揺られるデート初夏の風」
と詠んでみれば、これでもう立派な俳句です。
コツとしては、なるべく具体的に映像が浮かぶように描写してみること。
もちろん、ここから表現を磨いていく道が待っているわけですが、
入り口は、軽やかにく口ずさむように、俳句のリズムに慣れることでOK。
こんな感じで、俳句に親しんでみたい方は、ぜひ一度、
「さっぽろ俳句倶楽部」の句会や「はじめてさんの俳句講座」を覗きに来てくださいね。お待ちしています。
■この記事を書いた講師・俳人 瀬戸優理子の自己紹介
2005年より、Webで作品発表を開始。著書に詩句集『泣くなら、ここで』(新風舎)、句集『告白』(第34回北海道新聞俳句賞佳作)。さっぽろ俳句倶楽部主宰、俳句入門講座講師も務める。
■公式ホームページはコチラ→https://www.nyaos.net/